リーダーの功績
leadership highlights
安倍晋三氏は「美しい国、日本」、「新しい日本の朝」など、この国のかたちを構想し、私たちに提示しました。そして一人ひとりが、未来は明るいと信じて前進することが、次の世代の日本人に立派な国、強い国を残す唯一の道だと訴えました。
日本経済が没落することは、単なる国内の問題だけではなく、世界に対する責任の放棄、アジア、インド太平洋における未来の繁栄を揺るがす可能性があると考えていました。
安倍晋三氏が取り組んだ課題は多岐に渡りますが、根幹には「強い日本と日本人を育てる」、「世界の平和と繁栄に積極的に貢献する日本」という信念がありました。
国家指導者には国家像を描き、現実の世界で結果を出すことが求められます。安倍晋三氏の功績とは、50年、100年先を見据えた国家像を提示し、歴代最長の政権として現実課題に対処し続ける中で、日本人の更なる挑戦を促し、世界史と近現代史へ確かな足跡を残した点にあると考えます。
「美しい国、日本」の実現に向けて、次の五十年、百年の時代の荒波に耐え得る新たな国家像を描いていくことこそ私の使命であります。
2007年1月26日
施政方針演説 より
私たち一人ひとりが、みずから立って前を向き、未来は明るいと信じて前進することが、次の、そのまた次の世代の日本人に、立派な国、強い国を残す唯一の道です。
2012年9月25日
街頭演説 より
強い日本は、インド洋から、太平洋にかけての、広い海がつなぐ一帯に、平和と、安定と、繁栄をもたらす日本です。
2013年6月11日
世界経済フォーラム より
国際外交
地球儀を大きく俯瞰しながら、積極的な平和外交、経済外交を展開する。そして、アジアから環太平洋地域に及ぶこの地域の平和と繁栄を確固たるものとしていく。日本こそがその牽引役であり、私たちはその大きな責任を果たしていかなければなりません。
2016年1月22日
施政方針演説 より
安倍晋三氏は地球儀を俯瞰する外交を戦略的に展開しました。第2次政権下では延べ176カ国・地域を訪問し、積極的平和主義の下、国際社会と手を携え、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献できる国を目指しました。
冷え込んだ日米関係を修復し、2015年の米国連邦議会上下両院合同会議 演説「希望の同盟へ」、2016年のオバマ大統領の広島訪問、安倍晋三氏の真珠湾訪問による「和解」、トランプ大統領との強い信頼関係の構築などを通じ、より強固な日米関係が実現しました。
2007年のインド国会演説「二つの海の交わり」、2012年のセキュリティダイヤモンド構想などを踏まえて、2016年のTICAD Ⅵ講演にて「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)構想を提唱しました。法の支配、航行の自由、経済的繁栄の追求、平和と安定の確保に基づき、「自由で開かれたインド太平洋地域」を国際公共財として発展させていく考えで、オーストラリア、米国などの賛同を経て、広がりをみせました。
実際に2017年の日米共同外交戦略の発表、2018年の米国軍のインド太平洋軍への名称変更など、米国の世界戦略に今日まで影響を与えています。日米豪印(QUAD)では2017年の局長級会合以降、各種会合や取り組みを通じ、4カ国における関係性の強化が進みました。
国際協力では、2015年に政府開発援助(ODA)大綱の確定を閣議決定し、自由や民主主義といった「普遍的価値の共有」、「国益の確保」といった表現が加えられました。他にもNATOとの共同宣言、北朝鮮に対する国際社会の制裁への働きかけ、G7伊勢志摩サミット、G20大阪サミットの議長国対応など、様々な分野や地域で国際外交が展開されました。
関連年表
- 2007.08 インド国会で演説「二つの海の交わり」
- 2013.01 所信表明演説にて地球儀を俯瞰する外交を提唱
- 2015.04 米国連邦議会上下両院合同会議 演説「希望の同盟へ」
- 2016.08 TICAD VI基調講演、自由で開かれたインド太平洋を提唱
- 2017.11 ASEAN関連首脳会議、QUAD(日米豪印)首脳級会合
安全保障
平和は人から与えられるものではなく、我々自身の手で勝ち取るものであります。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力にほかなりません。抑止力、対処力を強化するために何をすべきか。日本を守り抜いていくために、我々は何をなすべきか。
2020年6月18日
記者会見 より
国際情勢の変化を反映し、日本の安全保障をより確固たるものにするために、2013年に「国家安全保障戦略」が策定されました。外交政策及び防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針としては初めて策定されたもので、国際協調主義に基づく積極的平和主義を理念とし、国益、国家安全保障の目標への総合的な施策を推進する戦略が示されました。2014年には国家安全保障会議、事務局としての国家安全保障局が設立されました。
2013年の特定秘密保護法の成立、2014年の防衛装備移転三原則、2014年の集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更、2015年の平和安全法制の成立など、安全保障に関する法制度の整備も進みました。
平和安全法制では存立危機事態における集団的自衛権の容認、重要影響事態における後方支援活動の拡充、国際平和共同対処事態における協力活動支援など、切れ目のない安全保障法制の整備が目指されました。
自衛措置としての武力の行使は、(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、を条件とする新三用件が設定されています。
平和安全法制の施行後、米軍、多国間共同訓練の充実、南スーダンPKOにおける駆け付け警護任務の付与、多国籍部隊・監視団(MFO)の司令部要員派遣、米軍等の部隊の武器等防護の運用、各国との物品役務相互提供供給の締結などが進みました。
2020年9月には敵基地反撃能力を念頭においた談話を発表した他、退任後も防衛費の拡充、中枢攻撃への言及、ニュークリア・シェアリング(核共有)への言及など安全保障に対する議論を喚起していました。
関連年表
- 2013.12 国家安全保障戦略を策定
- 2013.12 防衛大綱、中期防衛力整備計画を新たに策定
- 2014.07 集団的自衛権の行使容認を閣議決定
- 2015.09 平和安全法制関連2法が成立
- 2020.09 敵基地反撃能力を念頭に談話を発表
経済再生
最大かつ喫緊の課題は、経済の再生です。私がなぜ、数ある課題のうち経済の再生に最もこだわるのか。それは、長引くデフレや円高が、頑張る人は報われるという社会の信頼の基盤を根底から揺るがしていると考えるからであります。
2013年1月28日
所信表明演説 より
頑張った人が報われ、今日よりも明日の生活が良くなると実感できる日本経済の再生に安倍晋三氏は取り組みました。「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」からなるアベノミクス三本の矢を通じ、デフレからの脱却、富の拡大が目指されました。
実際、安倍政権(2012-2019年)で失業率は4.4%から2.4%まで低下し、就業者数増は500万人超と雇用が拡大しました。2017年には正規社員で、2019年には全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超えました。
2012-2019年度の期間で、名目GDPは57兆円(11%増)、家計可処分所得は7兆円、一般会計税収は15兆円増加した。消費税率の引き上げ(2014年、2019年)影響があったものの、総じて、GDPギャップやNAIRU(インフレ非加速的失業率)などマクロ経済を意識した経済政策が展開されました。在任期間で日経平均株価は2.3倍の上昇となり、平成以降で突出した実績となっています。
2016年には一億総活躍社会に向けて「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」からなる新・三本の矢を通じ、少子高齢化への対処、潜在成長率の底上げに挑みました。
経済圏の拡大、活性化では、関税率引き下げ、貿易円滑化、非関税障壁の削減からなるTPP(環太平洋パートナーシップ)への取り組みが特筆されます。安倍晋三氏は2013年にTPP交渉へ参加を表明、2017年には米国を除くTPP参加11カ国が新協定の大筋合意を正式発表しました。2018年には欧州連合との経済連携協定(EPA)が調印され、アジア太平洋に留まらず、世界のGDPの約4割弱(当時)を占める自由貿易圏の形成に取り組みました。
関連年表
- 2013.12 政府と日銀が2%の物価上昇率目標を明記した「アベノミクス」共同声明発表
- 2013.06 日本再興戦略-JAPAN is BACK-が閣議決定
- 2016.06 ニッポン一億総活躍プランや日本再興戦略2016を決定
- 2017.06 米国を除くTPP参加11カ国が新協定の大筋合意を正式発表
- 2018.07 日欧EPA調印、世界のGDPの約4割弱を占める自由貿易圏の形成に尽力
誇りある日本へ
戦後レジームを、原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出をすべきときが来ています。「美しい国、日本」の実現に向けて、次の50年、100年の時代の荒波に耐えうる新たな国家像を描いていくことこそが私の使命であります。
-2007/1/26
施政方針演説 より
誇りある日本、戦後レジームからの脱却に向けて安倍晋三氏は様々な国家の基本問題に取り組まれました。憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが、21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていると安倍晋三氏は考えていました。
拉致問題では、北朝鮮拉致疑惑日本人救援議員連盟(旧拉致議連、1997年)、北朝鮮に拉致された日本を早期人に早期に救出するために行動する議員連盟(新拉致議連、2002年)、日朝首脳会談での拉致問題を巡るやりとりなどで活躍をされました。
歴史問題では、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会(1997)、平和を願い真の国益を考え靖国神社参拝を支持する若手国会議員の会(2005年)等をはじめ、歴史教科書の是正にも取り組まれました。
第一次政権では、新たな試みとして政府内に拉致問題対策本部、教育再生会議などが設置されました。2006年の教育基本法改正では、公共の精神、自立の精神、道徳、地域や国に対する愛着・愛情が盛り込まれました。他にも防衛省・省昇格法、国民投票法、国民年金法改正、国家公務員制度改革など、様々な制度の見直しや改革が行われました。
第二次政権では、歴史認識を戦略的外交に組み込み、更なる日本の発信力強化が図られました。慰安婦問題では2014年に河野談話作成過程の検証結果を公表し、2015年には日韓外相会談における合意で慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」が確認されました。2015年の8月には終戦70年談話が公表されました。
2017年には天皇陛下の退位を実現する特例法の成立に尽力。2019年4月には新元号「令和」と発表し、御代替わりの諸儀式がつつがなく取りこなわれました。
悲願であった憲法改正に関しては、一年生議員の頃より一貫して自民党是の実現として提起し続け、2017年には「改憲20年施行を目指す方針」、「9条への自衛隊明記」方針が表明されました。
関連年表
- 2002.09 小泉首相訪朝に同行(当時 内閣官房副長官)
- 2006.12 防衛省・省昇格法、教育基本法改正
- 2014.06 政府が河野談話作成過程の検証結果を公表
- 2015.08 終戦70年に関する内閣総理大臣談話
- 2017.05 日本国憲法施行70年の節目に際し改憲4項目を作成し公表